TDYリモデルスマイル作品コンテスト

審査の様子

2016年度は例年同様多数の応募をいただき、誠にありがとうございました。
去る11月21日・22日の2日間にわたって厳正に審査を行い、全国最優秀賞作品、今回から新設されたTDY総合リモデル賞、および各部門の上位入賞作品を決定いたしました。審査員の講評とともに発表いたします。

個性的なプランニングに注目

今回も多数の力作が寄せられ、全体を通してさらなるレベルアップが感じられました。「レベルの底上げを感じるのは毎年のことですが、今回は一段とその傾向が顕著でした。実際に、より良いシートづくりを追求するため、各地の店会で開催している勉強会が年々盛んになっています。参加された各社の熱意や努力が伝わってくる作品が多かったのはうれしいことですね」と、審査員の竜口隆三先生は笑顔で話されます。西岡麻里子先生も「施工内容も事例シートも見応えのあるものが多く、特にコンテスト入賞常連店さんが、さすがと思わせるような強さを見せたことが印象的。毎年、その力を維持しているのは賞賛すべきことです。そんな中で新規店の健闘もあり、今後さらなる台頭に期待したいですね」と話されます。

シートの評価においては、写真の撮り方や簡潔で説得力のある説明文、オリジナリティーのある紙面構成など、プレゼンテーション力がものを言います。「これまでも力説していますが、生活感が伝わってくる写真の表現力が重要なポイント。お施主様にちょっと登場していただいたり、雑貨をコーディネートするなど、暮らしのワンシーンをより良く見せる撮影の工夫も必要」と、お二人は提唱されます。

プランニングにおいては、コンセプトに沿ったデザイン表現、ニッチなど壁の工夫や色の使い方、モザイクタイルなどポイントとなる素材の採用など、こだわりのあるアイデアが多く見られました。「秀作揃いの中でも、誰もが好むような優等生的なデザインより、お施主様のライフスタイルや好みを反映させた個性のあるデザイン・空間づくりに力量を感じるケースも多く、そういった作品が上位入賞を果たしたことも特筆すべきこと」とお二人。その象徴とも言うべき作品が今回の全国最優秀賞作品です。

瀬戸内海を望めるマンションという絶好の立地を活かし、“海”をテーマにおしゃれにリモデルした作品です。ローコストでありながら、R壁を取り入れたり、天井に海面を見上げたイメージを表現するなど、間取り、インテリアともこだわりが随所に感じられました。「それらが嫌味ではなく、さらっとすがすがしい雰囲気にまとめている点が素晴らしく、マンションという限られた空間にあっても、暮らしの楽しさが伝わってきます。シートづくりもわかりやすくきれいにまとめられており、今回、目を引いた個性的な作品の中でも、提案内容、施工力、シートのプレゼンテーション力の総合力で群を抜いていました。まさに全国最優秀賞にふさわしい作品」と、お二人は絶賛されていました。

高齢者対策と家事動線に配慮を!

全応募作品の中から、TOTO・DAIKEN・YKK APの商品を同時に採用している作品で、最も優秀と評価されたものに授与する『TDY総合リモデル賞』が、今回新たに設けられました。全国最優秀賞に次ぐ価値ある賞であり、今後さらに3社の商品を上手く活用したリモデル作品が増えていくことが期待されます。

また、高齢社会を反映してシルバー世代のリモデルも増えています。「バリアフリー、ベンチや手すりの採用などをはじめ、高齢者に優しいアイデアをさらに工夫していただきたい。さらに、年代を問わず、家事動線への配慮も重要。最近は共働きなど忙しい方が多いので、家事をできるだけ楽にできるようなリモデルのあり方も追求してほしいですね」とお二人。今後もより良いリモデルと営業活動にも活用できる事例シートづくりに邁進してください。

  • 西岡 麻里子 先生 一級建築士。アトリエ楽 一級建築士事務所主宰。埼玉県生まれ。日本女子大学住居学科卒。どこの家もふだんは散らかっているし、家族の会話は不足がち。だからこそ楽しい暮らしができる家づくりを日々模索している。著書に、吉田桂二氏らとの共著「暮らしから描くキッチンと収納の作り方」(彰国社)、女性建築技術者の会名義での「家づくりのバイブル」(三省堂)など。

  • 竜口 隆三 先生 西日本工業大研究センター客員教授・博士(人間環境デザイン学)。東陶機器㈱(現TOTO㈱)にて長年水まわり設備機器・福祉機器を中心としたバリアフリー化の研究・開発業務に従事し、2002年同社内に設立されたUD(ユニバーサルデザイン)研究所の初代所長に就任。現在は西日本工業大学で教鞭を執るほか、国際標準化「ISO」の日本代表委員等も務めている。